ひとりじゃなんにもできないぼくら。
今、仲間は渦巻く嵐になる。
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凍てつく風に凍える真夜二時。
僕は決心した。 何故こんな考えにいたったのだろう。 僕の今までの人生から見て、大胆だと思う。あほだとおもう。 カブスカウトしかやってなかった癖に、 「ボーイスカウトで琵琶湖に行った」といい続けてきた。 琵琶湖に行けるのは僕がカブスカウトをやめたもう少し後の話だ。すなわち僕は行ってない。 昨日テストが終わった。 テストは辛かった、くだらなくて。 僕は将来一冊でいいから本を出版したいと考えている。 本のことについて色々考えたい。 学校教育はその夢とはひたすら関係のない無駄知識を詰め込み式で押し付けてきた。 ほんとうにくだらない。 昨日本屋で旧友にばったり会って語り明かした。 話は自分の生き方について盛り上がり、時計は4時だったはずなのに8時を勝手にさしていた。 そして言われた。 「自分にうそだけはつきたくないよね」 うそで塗り固められた僕は死んだ。 琵琶湖の話は途方もないうそだった。 それにしても大胆だ。この家庭から、地域から抜け出して琵琶湖に行く。 自転車で。 距離にして約70キロ。迷わなかった。 僕の田舎町を、国道沿いの繁華街を、そして山間の峠道を、僕は高校に登校するいつもの自転車で走った。 まったく疲れなかった。琵琶湖につけばうそが消えるのだから。 まず第一に、僕は方向音痴だった。そして当然道に迷った。 「すいません、大垣まではどうやっていけばいいのでしょうか?」 優しい顔をした30代(?)の男性が答える。 「こっちの道をこっちの方にずーっと行けばいいんだよ。どこまで行くの?」 「琵琶湖です」 「・・・・・・その自転車でいくの?」 「はい」 「遠いぞ・・・・」 うん、その通りだ。遠い。でも僕の目の前にはもう琵琶湖が広がっているんだ。このおじさんには広がってない。そう、僕だけにひろがっているんだ。 元気なおじいさんに尋ねる。 「すいません、琵琶湖はどこでしょうか?」 「琵琶湖か!?琵琶湖ね??琵琶湖はあそこの高架線の下をくぐって、あそこの橋をわたらずに駅を通り越していけばつくよ」 「ありがとうございます」 「いえいえ」 若い30代(?)の測定士に尋ねる。 「すいません、琵琶湖はどのように行ったらいいのですか?」 「琵琶湖はねえ、この道まっすぐ行けばすぐそこだよ」 「ああ、ありがとうございます」 住宅街に迷いこんでしまった僕、おばさん軍団がキョロキョロ辺りを見渡す僕に声を掛けた。 「この道通っていけば街に出られるよ。こっち側に曲がっていくんだよ」 「ああ、ありがとうございます!」 「気をつけて行ってね」 「はい!」 路地を抜けて思った。(あれ、どっちに曲がるんだったっけ?) 先ほど聞いたばかりの話をもう忘れてしまった。 馬鹿だから仕方ない。 背中に視線を感じた。なんと先ほどのおばさん軍団が全員そこにたっていた。 「こっちに行けばいいからね」 「・・・・・ありがとうございます!」 琵琶湖につくまでに4回人に助けてもらった。 みんなの口から”偽りのない答え”が帰ってきた。 「人間は助け合って生きてくものなのだよ」と。 みんなのおかげで琵琶湖に着いた。 琵琶湖が言った。 「いらっしゃい」 12月1日の琵琶湖を雲が覆いつくし、波は荒れていた。 内陸県の岐阜に住んでいて海も琵琶湖も知らない僕にでももうすぐこの雲が大雨をぶちまけることくらい分かった。そして気づいた。 「おれ、今日どこに泊まるんだ・・・・・・?」 僕はあほだ。 寝袋をもってきたものの天気は雨。寒い。嫌だ、野宿は嫌だ。 僕は無謀にも琵琶湖沿いに民宿を探した。 予約はしてないけどなんとかなるかもしれない・・・・・・きっとそうだ・・・・・・頼むなんとかなってくれ!!!! 見つけた。 「すいません」 「お客さんですか?」 「はい・・・・・予約してないんですけど」 「ああ、ごめんもう民宿はやってないんだわ」 おばあさんの”お客さん”という言葉は民宿の主としてではなく、自分の家に訪ねてきた”普通のお客さん”として放たれた言葉だった。 いったいなにやってるんだ俺。第一、予約していないんだから食事の準備なんてできる訳ないじゃないか・・・ 心のどこかでは分かっていた。 でも、そうだとしても、知らない土地「琵琶湖」は、雨が降ってきて荒れだしたその水面同様にやっぱり怖い。 雨が風がさらに勢いを増す。 自転車に付けておいた黒傘をさす。 傘はなんども風に殴られてひっくり返しになった。まじでやばい、オレは今日どこに泊まるんだ!? サークルKに飛び込んだ。もう僕は必死の必死の必死だった。 20代(?)の男性店員に尋ねる。 「すいません、この辺りに民宿か、ホテルはありませんか?」 「民宿はないんですけど・・・ここは田舎でしてあるのはあそこの看板が光っているビジネスホテルくらいですね」 ぼくにはそのホテルが天国に見えた。 「ありがとうございます!」 「はーい」 ぼくはペダルをフルスロットル!足の痛みなんて感じるわけがない。 「いらっしゃいませ」 「すいません、一泊したいんですけど」 「申し訳ありません、部屋数がすくなくもう満室なんです、申し訳ありません」 NO==========!!!!!!どうしよう、どうしよう、どうしよう。 「この辺りに他にホテルはありませんか?」 「申し訳ありません、うちしかないんです。」 NO===============!!!!!本当にどうしよう?????? 「ここにはないのですが、電車で一駅いってもらうと50ほどの部屋をもつホテルが4・5件ありますよ」 僕は電車に直行、自転車は駅の駐輪場においておいた。 今日は電車で行ったところに泊まって、あした電車で戻ってきて自転車に乗って帰ればいい。 ようやく・・・・・・ようやくついた。 「いらっしゃいませ」 手続きを済ませる。 「すいません、おいくらになりますか?」 「5200円です」 僕は財布の中を覗き込んだ。これを支払うとあと1000円しか余裕がない。 大丈夫な気もするのだが、なんといってもここは異郷の地である。 千円じゃあぼくのお供にはとてもとても心細かった。 でもまた次のホテルに赴くことを考えると僕はあっさりとお金を差し出していた。 そしていま僕はそのホテルに宿泊中であり、インターネットルームからこの記事を書いている。 いつもの10倍手が動く。書きたくてしかたがないんだ。 「お母さん」 「どうしたあ?」 「ぼく今どこにいると思う?」 「どこにいるの?」 「波の音聞こえへん?」 「え!?海まで行ったの?」 「ちがうよ(笑)び・わ・こ」 「今日どうするの?」 「泊まる」 「・・・・・泊まる場所あるの」 「今探し中」 琵琶湖についたばかりの時にかけた電話の声が蘇えってくる。 とても心配そうな声色だった。 僕は明日、全速力で帰ります。いつものまちに、いつもの自分に。 PR 2007/12/01(Sat) 19:57:25
長いこと更新を怠りまして、相互リングの皆さんすいませんでした。 2007/11/18(Sun) 21:07:24
今日共感したのはこの記事。 2007/11/07(Wed) 22:34:32
激動の一日はごちゃごちゃです。 2007/11/03(Sat) 21:31:58
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